キウイフルーツの原種となった貴重な果物

「さるなし」という果物を知っていますか?日本全国に自生しているといわれていますが、その数は極めて少なく外見上目立った特徴もないことからあまり知られていません。食べられる時期も9月から10月の約1ヶ月と短く、栽培にも向いていないといわれ、幻の果物といわれていました。
しかし、栄養価は非常に高く、特にビタミンCはレモンの10倍あり、タンパク質分解酵素や繊維質を豊富に含み、巷では「スーパーフルーツ」とも呼ばれています。現在市場に出回っているキウイフルーツは、さるなしを品種改良したものです。

 

あまりのおいしさに、猿が食べてなくなってしまう?

さるなしの果実は、キウイフルーツよりも小ぶりで2cmから3cmほどで、表面には毛がないため、皮ごと食べることができます。キウイフルーツよりも香り高く、ほどよい酸味と甘みが口の中に広がります。
果実部分は「コクワ」や「ベビーキュウイ」の名称でも販売されることもありますが、あまりのおいしさに猿が食べ始めるとすぐになくなってしまうことから「さるなし」といわれ、現在ではこちらのほうが有名な呼称になっています。

 

玉川村は「さるなし」の生産量が日本一

ご紹介したように、さるなしの収穫時期は9月から10月にかけての約1ヶ月と短く、また、果実がデリケートなため輸送には向かないということもあり、栽培には向かないと思われていました。しかし、玉川村では阿武隈山系の斜面という標高を活かして、30年ほど前からさるなしの生産をはじめました。栽培に向かないことを逆手にとり、現在では「希少な果実」「幻の果物」として注目されています。
さるなしを生産する地域はほかにもあり数トン程度を生産していますが、玉川村では30年間の確立された栽培ノウハウもあり、ほかの生産地よりもはるかに多い20トン近くを生産、生産量は全国一位となっています。

 

さるなしを積極的にPRすることで、その魅力を知ってもらう

玉川村では、特産品であるさるなしの魅力を発信するため、積極的にPRやイベントをおこなっています。その一環としておこなわれているのが「たまかわさるなしウォーク」というイベントです。
さるなし色(緑色)のものを身に着けて、玉川村を3km、5km、10kmの3コースに分かれて歩きます。途中に設置されている給水所では、生のさるなしやさるなしドリンクの配布、さるなしの摘み取り体験なども用意されています。毎年9月下旬に開催されており、多くの人がさるなしの魅力に触れています。

 

さるなしブームの兆しあり、生はもちろん加工品も多数

さるなしは玉川村の直売所「こぶしの里」のほか、福島県内の飲食店などでも食べられる機会が多くなっています。また、玉川村観光物産協会では、各地の物産展などに参加して積極的に販売促進を実施、健康によく味もおいしいことから売れ行きも順調だといいます。

さるなしを生で食べられる期間は限られていますが、冷凍した商品も需要が高く、そのほかの加工品も種類が豊富で、ジャムやジュースのほか、珍しいさるなしワインなども口当たりがよく美味しいと好評です。
食品に機能性を求めることが多くなった現在、ビタミンや繊維質などが豊富なスーパーフルーツ「さるなし」は、これからブームの兆しを見せる果物といえるでしょう。ぜひ、一度「幻の果物」の味わいを試してみてください。

生で食べられる旬は、わずか1ヶ月!幻の果物「さるなし」

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